Monday, April 14, 2008

もったいない!!!

2008年4月13日
        「受け継がれるべき精神は今!?」
                         デルメ(Дашмягмарын Батдэрэм) 
一橋大学商学研究課修士1年

  大草原をゆったりと移動する遊牧民を思い浮かべる。彼らは四季がもたらす気候が家畜に最適であるように山と川と草を求め廻るのだ。だから、自然の姿を失う 土地がどこにも生じないことは大変素晴らしい。私たちが想像する限りなく広がる平原といえども、人間と家畜の滞在期間が長くなってしまうと土地の負担が大 きくなってしまう。彼らの生活は太陽の動きと一体で、自然との調和が見事である。だからこそ持続可能な共存が可能になるといえよう。
他に類のみな いこのモンゴル文化の中でゴミについて考えてみたい。昔から我々の祖先が自然ハーブのある草原にて家畜を育てて生活してきた。家畜から主食の乳製品とお肉 が得られ、着るものに皮と毛を活かしていた。衣食住の住に当たるモンゴル・ゲル(移動式住宅)にも、羊の毛から出来るフェルトは厳しい冬に断熱材として活 躍する。まさに循環利用社会だ。そこに無駄で、捨てるものは一つとしてないのである。羊を解体する時一滴の血も流さず何も捨てることなく全て利用する。こ の優れた知恵についてその代表的な例として挙げられることが多い。また、川から水をくむ時は専用のものを使い、ミルク用の容器を絶対に使用しない。こう いった自然への配慮が文学から教わることもできる。そうすると自然への害は無に等しい。現代人類が誇る近代生活の負の側面はここに現れることは無い。むし ろ、モノを不要でゴミと名づけないのかもしれない。今なお活用されない糞さえ、遊牧民にとって燃料になるのだから。
 しかし、現在のウランバート ル(*)は四つの山に囲まれた盆地であるがゆえに、今やゴミに囲まれた集積場になっている。現代人が売買する数々の商品からその人にその時において不要と されるものが毎日大量に生み出される。それがただただ住宅前から運ばれ、別のところで散乱し、土壌汚染の主役を務める。聖なる場であるはずの墓場にも広が るゴミ置き場が出現したという。モンゴルではまだゴミの分別、焼却、再利用等々が出来ていない現状だ。だから、そこにもはや健康で、名力士のような強い赤 ちゃんが育つ環境でなくなっていることが受け止めがたい悲しき環境だ。
 このいわば「ゴミ文化」をもたらした現代商業と化学の由来をどこからなの だろう。そして、それまでに我々が持っていた、誇っていた「ゴミのない文化」とその精神をもみつめる。今の私たちが何をすべきなのだろうか。そこで自分な りに答えを出した。我々の手でその精神を守ることだ。疑問を感じなくなった今の生活様式を変えられるか、というと大変難しい。問題はその現われではなく、 本質にある。私たちの考え方にあるのだ。今なお受け継がれるべき精神こそが、課題への解決口なのではないか。それはゴミを生まないことで、自然を汚さない ことだ。いわゆるゴミは放って置かないことだ。ゴミ処理の先進国である日本にも学ぶことなのだ。そして、その成果を本国に帰って実行することは我々留学生 の使命でもあるのだ。

*:ウランバートルはモンゴルの首都であり、全人口の半分以上が集中している。

(Эхийг http://yamoh.blogspot.com/ -аас авав)

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